取り組み

杉を使うということ

杉の歴史 - 私たちとのかかわり

日本にしかない杉は学名を「クリプトメリア・ジャポニカ」といい、
“隠された日本の財産”を意味します。
杉の植林が始まったのは室町時代とも伝えられており、寺社仏閣を建立する際の構造材としても周辺に植林を行い用材の確保を図ってきました。
その木目は柾目が緻密によく通っており、日本人の美意識にも重なったのかもしれません。さらに「真っ直ぐ」なだけでなく、屋久杉や吉野杉の細かくて美しい杢はとても珍重されてきました。
その他優れた調湿機能や香りなどを活かして、住宅・舟・桶など、現在に至るまで様々な場面で日本の暮らしと関わり続けています。

杉のちから

例えば住環境を考えてみると、日本の伝統的な住宅は木と紙で作られ、その土地の風土・気候に合った過ごしやすい空間を提供してきました。優れた調湿機能を持つ木は、カビやダニの原因となる結露や湿気を住まいから追放しています。さらに、桧や杉から匂うほのかな香りは人をリラックスさせ、ストレスを癒し、やすらぎを与えてくれます。
木材は味覚とも無縁ではありません。例えば酒樽には香りをつけるために杉が、食品を入れる桶には軽くて水に強いことから椹が用いられます。
また、造り酒屋では春になると軒先に飾られた杉玉が新しくなり、冬から仕込んだ新酒ができあがったことを告げる慣わしがあります。

襖と障子のある室内(桂離宮)

杉玉

酒樽

なぜ「杉」は問題になっているか

杉の植林地が多い背景には戦後の農林省の政策があります。
第二次大戦によって荒廃した森林に、育成が早くて楽な杉を大量に植林していきました。1957年には国有林生産力増強計画を企て、建用材として天然林を伐採し杉を中心とした樹種転換を図ってきました。これにより高度経済成長時代は、国有林等から生み出される木材がその成長を下支えしてきました。
ところが、円高による外国材の輸入増加や建築工法の変化は国産材の価格低迷を招き、林業がもはや産業として成り立たなくなり、森林の育成は後回しとなって山は荒廃してゆくという悪循環に陥ってしまったのです。

こうした末に現在、
  ○森林荒廃による土石流の発生や河川の荒廃、更に海岸部への土壌流出による漁業への被害増大
  ○杉花粉等による人体の健康に対する悪影響
  ○林業家の後継者不足による更なる山の荒廃
  ○価格の安い発展途上国での伐採による地球環境への影響
  ○森林の本来もつ生態系への影響
などの問題があります。

枝打ちや間伐が行われず荒れた森林

手入れがされ明るく光が入り込む森林

杉を使うわけ

日本は国土の67%が森林であるにもかかわらず、木材の自給率はわずか28.6%にとどまり、年間およそ12,160億円(2013年度実績・財務省「貿易統計」より)もの木材を輸入しています。森林資源が大量放置されているにもかかわらず、活用を図れない環境にこそ今日的な日本の森林問題があります。
いま荒廃してゆく国土を保全することは、近未来への火急な命題ではないでしょうか。

飛騨産業(株)は、国産材の利用を通じて日本の健全な森林整備を推進し、持続可能な経済社会構築を目指す林野庁の「木づかい運動」に参加しています。