きつつき懐古録 1

雑炭か下駄にしか使われていなかったブナ材を使って、高山に曲木家具の工場ができたのは今から100年前。地元の青年実業家たちが出資し合った、株式会社としてのスタートでした。

 

一世紀を経て、私たちは地場産業としての変わらぬ想いをもって進んでいます。

 

「きつつき懐古録」では、先人たちが生み出してきた家具を、次の100年につながる証としてご紹介します。


No.12 曲木腰止椅子

この椅子は飛騨産業の前身飛騨木工で昭和初期に作られていた椅子です。日本人がまだちゃぶ台を囲んで食事をしていた頃。まだカフェーもないこんな山奥で作られていた、曲木が特徴の椅子は、遥々海を越えて外国へと渡っていきました。
腰止椅子と呼ばれた食堂用の小椅子で座面に籐を編み込んだものでした。台輪と称する丸いわっぱにはいっぱい穴が開いていて、その穴へ割籐を通してきれいに編み上げる作業はとても根気のいる仕事でした。この仕事は町のおばさんたちの内職で、大きな風呂敷につつまれたシートを背負った籐編みのおばさんたちの姿は、当時の高山の町ではよくみかけられたものでした。

No.12 曲木腰止椅子
W37×D38×H63 SH42.5
製造 昭和初期
材料 ブナ材 籐張り
塗装 春慶漆仕上げ

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