製品情報

穂高物語

 

1969年の発売以来、日本人の暮らしにそっと寄り添ってきた穂高。

みなさまに愛され続け、おかげさまで 2018年に「穂高」は50周年を迎えました。

 

穂高誕生

1969年の誕生から50周年

1969年、日本は空前の好景気。同じ年、人類は初めて月に降り立ちます。未来が明るい希望に満ちていた時代、飛騨産業でもできあがったばかりの新工場が機械音を響かせ始めていました。すっかり一新したロクロや曲げ木の機械を使って、新しい製品を開発したい。輸出に3分の1程度依存していた体質から脱却し、日本人のための家具をつくりたい。そんな考えが持ち上がってきたのはごく自然な流れでした。

そこで当時、高島屋で活躍されていたデザイナーの森岡正氏とともに、新しい工場の技術を生かした家具をデザインすることにしました。

デザインのポイントは3つ。

 

1.ロクロが入っていること

2. 曲げ木を使用していること

3. 置きクッションタイプであること

 

こうして、日本人の体型と暮らしに合うウィンザースタイルの「穂高」が誕生しました。ところが当時はビニールレザー張りタイプの椅子の全盛時代。布張りの穂高はなかなか売れません。そこで発表当初ブドウの柄だった布をオリジナルの花柄に変えたところ、爆発的に売れ出したのです。現在でも人気のある、グリーン花柄(コットンG)です。

62万6,000脚のロングセラー

発売以来、穂高の基本フォルムは全く変わっていません。その美しさと堅牢さと使いやすさから、2018年には62万6,000脚を超すロングセラーに育ちました。その人気を支えた一つとして、1974年に暮しの手帖に「だんだんふやしていく椅子」として掲載されたことが挙げられます。暮しの手帖は、2016年の朝ドラのヒロイン・とと姉ちゃんこと大橋鎭子さんが花森安治さんと創刊した雑誌です。「だんだんふやしていく椅子」は当時の住宅事情にマッチし、日本人の暮らしに広く受け入れられました。

穂高の技

穂高の肘が磨ければ一人前

穂高の魅力の一つである優雅なラインの肘。この肘ができあがるまでには、実に十数工程あります。まず、角材をオビノコという機械で荒切りしてから、木の材質や節を丁寧に見ながら右肘用と左肘用とに選別し、コッピングの機械にかけます。コッピングとは、金属の型の通りに機械が木を倣い、削り、同時に磨いていく機械です。小さな傷もその通りに削ってしまうので、型の扱いは慎重。型は少しずつ摩耗するので、数年に一度は新調します。また、型にセットする際、木材の中心が少しでもずれていると型通りに削れません。ベテランでも中心合わせは気を遣います。このコッピング機械が導入されたのは1971年。まさに穂高量産のために取り入れられた機械です。

 

コッピングで削り出した後は、磨きに入ります。磨きだけで5工程。機械磨きも取り入れていますが、細かいところは手で仕上げていきます。木はひとつひとつ、堅さも木目も違うので、それを確かめながら、座る人の腕をやさしくサポートするくっきりとしたラインを磨きだすには、やはり人間の手の感覚が必要なのです。穂高の肘が磨ければ一人前、とも言われるほど難しい作業です。

体をしっかり支えるクッション

穂高のクッションは、高密度のウレタンフォームに化繊綿を巻いています。このウレタンフォームをカバーに詰め込むにはかなりの力が必要となるため、工場では「オリジナル・クッション芯詰め機」を開発しました。これなら簡単にクッション芯をカバーに詰められます。しかし、実はここからが大変。クッションの奥まで手を差し入れ、偏りのないよう整えていきます。特に四隅は芯が固まりやすいので、見た目にも美しいように、力を入れてしっかりと丁寧にならしていくのです。
そして、クッション芯を入れ終わると、次はボタン付けです。両側からしっかり縫い付けられたボタン。これも人の手で行うには相当の腕力が必要です。そこでまた工場は「オリジナル・ボタン付け機」も開発しました。機械と手わざの見事なコンビネーションで、しっかりとボタンが取り付けられていきます。
ボタンを付け終ったら、クッションを注意深く点検します。糸が出ていれば切る。起毛が寝ていればアイロンで蒸気をあてる。そうしてようやく穂高のクッションはお客様の元に届けられるのです。

受け継がれていく穂高

世代を超えて

飛騨産業に送られてくる修理依頼品は年間4,000件。もちろん、その中に穂高の姿も多くみられます。送られてくる家具には手紙が同封されていることも多く、いずれも穂高への愛情を感じられるものばかり。だから飛騨産業も愛情を込めて修理をします。修理の依頼は、例えば塗装。丁寧に塗装を磨き落とし再塗装を行うと、まるで新品のように生まれ変わります。ひとつひとつの状態を職人が見極めて行う修理。座枠を取り換え、木部の再塗装を行い、部品を交換して組み直しを行う。そんな風に何度もメンテナンスをすることで、永く永く使える家具は、世代を超えて受け継がれていきます。

愛着をもって使い続ける家具

穂高のクッションは置きクッション式。豊富なバリエーションの布からお好みに合わせてお選びいただけます。日々のお手入れは、掃除機でブラッシングし、ゴミやホコリをこまめに取ることが大切です。時々通気のよい日陰で虫干しをしてあげると衛生的です。5、6年経ったらお取替えをおすすめします。「たった5、6年で?」と思われるかもしれませんが、毎日座るクッションは意外と痛み、座った感触も最初と比べるとへたってきているはずです。
取り換えるときにはひとつずつでももちろんできますが、全部を新しい柄にすれば、手軽にイメージチェンジをすることができるのも穂高の特長です。おじいちゃん、おばあちゃんが使っていた穂高を、娘さん、そしてお孫さんに譲られる際に、クッションのみ真新しいものに取り換えて使っていただいているというような嬉しいお声も届いています。世代を超えて、穂高は生き続けています。

 

生まれかわり、生き続ける家具のいのち

西村様/京都府

西村様ご夫妻の穂高は30年前にご購入いただいたもの 。
「2人で出発したわが家も、一男二女に恵まれ、愛犬ドンも加わってそれはそれは賑やかな騒々しい程の時代を経て、やがて子どもたちは次々と巣立っていきました。今の穂高は、わが家の生い立ちを見守り続けた『歴史の証言者』であったと思います。」
クッションはグリーン、ブルーと2回交換されました。いよいよ3回目のとき、さすがに買い替えようかとデパートの家具売り場に出かけたそうです。しかしどうしても穂高とさよならする気になれなかった西村様。そうして西村様の穂高は飛騨産業にやってきました。全体にかなり傷みの激しい状態でした。修理されて返送されてきた穂高を見て奥様は、思わず飛びあがり、「お帰りなさい!」と叫んだそうです。「新品!本当にすっかり元気にきれいになって戻ってきたのです。マエストロ=職人魂というものを強く思いました。」

西村様宅のご様子

 

長持ちの秘訣は、愛情です。

鯨井様/埼玉県

鯨井様からこんなお便りをいただきました。
「平成11年、新築した家の14畳のリビングのイスとしてパッションG布で、5脚、テーブル他を迷わず買い求め、わが家の宝物として、訪問客にもほめられ、自慢の家具としていつ見ても飽きません。永遠に愛する妻とともにかわいがっております。最近、いつも座っている2脚がツヤをおび、てかってきました。一度洗濯を、と思っておりますが、どうしたらよいか教えてください。」
いつも座る場所はなんとなく決まってしまうもの。そこは先に汚れたり、へたりがちです。穂高は置きクッション式なので、時々裏返したり場所を入れ替えてやることも長持ちのコツ。もし経年変化が気になられる場合は、クッションのリフレッシュもぜひご検討ください。また、2017年にカバーリングタイプも発売となり、カバーもお手入れしていただけるようになりました。こまめにお手入れしたいという方はこちらもお奨めです。

飛騨産業 旧カタログより

穂高進化

鹿児島睦氏 オリジナルファブリック〈50th Anniversary 〉

発売から50年、ずっと変わらないデザインが売りでもある穂高ですが、時代時代に合わせて、様々なデザインのクッションを発表してきました。記念すべき50周年には、陶芸家であり芸術家としても知られている鹿児島睦氏に、新しい花柄布を創作していただきました。また、木部も定番のアンティーク色のほか、新たにナチュラルカラーをご提案。

 

鹿児島睦さんは、この布<ナベダイラ>の開発にあたり、「おばあちゃんの家に遊びに行ったような、暖かくて、懐かしい感じや、流行を追うのではなく、ウィリアムモリスのような永く愛される、手仕事感のある良いもの」を目指しました。また、<ナベダイラ>はタテ糸6色とヨコ糸3色で緻密に織りあげる「ゴブラン織り」の技術を用いています。国内の椅子張り産業が減少している中で「日本のいいものを残そう」という想いで創作しました。

 

親から子へ、そして孫へ

 

家族との豊かな時をつむぐ、場づくりに欠かせない存在として、穂高はますます皆様の暮らしに寄り添って参ります。

鹿児島睦 MAKOTO KAGOSHIMA


福岡生まれ。美術大学卒業後、インテリア会社に勤務しディスプレイやマネージメントを担当。2002年より、福岡市内にある自身のアトリエにて陶器やファブリック、版画などを中心に制作。日本国内のみならず、L.A.、台北、ロンドンなどで個展を開催、近年では世界中にファンが広がっています。作品制作の他、国内外のブランドへ図案の提供も行っており、陶器にとどまらず、ファブリックやペーパーなど様々なプロダクトを発表。また、国際的なアートプロジェクトへの参加や、空間への壁画制作など活動の幅は多岐に渡ります。
www.makotokagoshima.net